

2017年4月29日(土・祝)~7月30日(日)
「開眼」。それは仏の魂を迎え入れること。また、物事の道理をつかみ悟るという意味も含まれています。この展覧会では、古来から人が身近に感じてきた“悟り”や“魂”など、不可視な精神的世界について考えるきっかけを与えてくれる彫刻、絵画、写真、インスタレーションを展示します。
HELLO 開眼――魂を込めるかのような、衝き動かされたかのような、見えない世界を紐解いていくかのような、開眼を巡って繰り広げられる作り手たちの表現との出会いを、心ゆくまでお楽しみください。
[出展者]
(1)会場:ボーダレス・アートミュージアムNO-MA
荒川朋子、一円敏彦、入江早耶、大井康弘、宮川隆
(2)会場:カネ吉別邸
岩岡保吉、木村賢史、辻村耕司、宮﨑甲子男、吉田格也
会場 | ボーダレス・アートミュージアムNO-MA(近江八幡市永原町上16(旧野間邸))、カネ吉別邸(近江八幡市為心町元) |
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開館時間 | 11:00〜17:00 |
休館日 | 月曜日(祝祭日の場合は翌日休館) |
観覧料 | 一般300円(250円) 高大生250円(200円)中学生以下無料 ※障害のある方と付添者1名無料 ※( )内は20名以上の団体料金 |
(京都府/1988‐)出展会場:NO-MA
ご神体や呪具を思わせる木彫を多数発表している。多くの作品は「毛」があしらわれることから、グロテスクな生々しさを醸し出している。一方、シンプルで丸みを帯びたかたちは愛らしくもあり、不思議な魅力を放つ。
(滋賀県/1955‐)出展会場:NO-MA
滋賀県湖東地域の山奥深く。木を彫り、野草茶を楽しむ。山林に息吹く自然を見つめて過ごす日々を送る一円。住居には、木彫や陶による造形がところせましと並び、居間の中央にも、比較的大きな木彫がまるで祭神のように置かれている。
(広島県/1983‐)出展会場:NO-MA
一連の制作は、あたかもイメージ自体が意思を持ち、啓示を与えるために降臨したかのようであり、観る者を神聖な気持ちで包み込む。つくられる彫刻は、対象となるイメージをケシゴムで消し、そのカスを利用して形成するという気の遠くなるプロセスを経て生み出される。
(滋賀県/1982‐)出展会場:NO-MA
大井は作品の中に、自らの体毛や大好きな木の実などを入れる。それらの素材をティッシュで優しく包み、新聞紙で覆い、さらにガムテープでぐるぐる巻きにしてできた芯材の上に粘土を足していく。大井にとっての制作は、作品と自分との距離を限りなく近づけ、ひいては分身をつくり出す行為なのかもしれない。
(東京都/1955‐)出展会場:NO-MA
沖縄県の宮古島に生まれ、東京でグラフィックデザイナーとして活動する宮川のもう一つの顔。それは、「カンカカリャ」である。1993年、突如、頭の中に情報が流れ出し、1枚の絵を「描いてしまった」と話す宮川。それまで学んだどの技法とも異なる絵。自分が描いたという実感はない。描き続ける日々がスタートした。
(宮崎県/1889‐1977)出展会場:カネ吉別邸
高鍋町持田を一望できる高台に高鍋大師はあり、この地には岩岡が制作した素朴かつ奔放な石仏700体以上が鎮座している。町一帯に群在する古墳の盗掘事件に心を痛めた岩岡は、私財を投げ打って古墳の一角を購入。古代の人々の霊を鎮めるため、そして、今を生きる人々の幸せを願い、半生かけて石仏を制作し続けた。
(静岡県/1943‐)出展会場:カネ吉別邸
能、田楽の面や古刹の仏面など、約500点が飾られている「日本仮面歴史館 福々和神面」。これらの面は、館長である木村自らが、30年以上かけて制作したもの。日本の心のすばらしさを伝える、という終世のコンセプトの下、独自の手法で制作を始めた木村だが、その情熱は極めて強く、ついには仮面館までオープンするにいたった。
(滋賀県/1957‐)出展会場:カネ吉別邸
人間の営みと密接する祭りや習わし、自然を撮影する辻村。時代時代で新たな要素を取り入れ不可思議な魅力を放つ祭礼。装束やかぶり物、神輿の飾り、曳山を荘厳する彫刻など伝承されるかたち。祭りのルーツには、祈りや感謝、慰霊などがあり、辻村のレンズは、そうした古来から続く人々の営みとともに、そこに流れる感情や思考そのものを捉えている。
(福島県/1924‐2016)出展会場:カネ吉別邸
とある喫茶店のガレージ。黄金色の輝きを放つ群像に目を奪われる。「喫茶ブルボン」である。神仏を彷彿とさせる彫像や、白塗りの女性像などが密集し、裏庭や店内にも広がっている。これらは、喫茶店のマスターであった宮﨑によるもの。一見すると異様な雰囲気が漂う作品は、家族や人生訓、愛がテーマとなっており、見続けていると、不思議と温かな気持ちになってくる。
2021年2月13日(土)~5月30日(日)
現代の情報社会において、私たちの身の回りには、様々な文字とことばが溢れている。街なかの標識・看板から新聞やテレビ・SNSに至るまで人が生きるなかで不可分である文字やことばであるが、そこには単なる情報伝達の手段を超えて、言霊といわれるように、“発し語り記す”人間の思考や感情のみならず魂さえ宿すこともある。
文学に限らず現代美術やアール・ブリュットの表現者においても文字やことばを扱った表現は珍しくない。本展では、“視る読む聴く”をキーワードに、文字とことばの持つメッセージやエネルギー、手書きからデジタルによるタイポグラフィーとしての造形など創造性豊かな作品を幅広く紹介し、日常とアートについて再考するものである。
本展アート・ディレクター、美術家
今井祝雄