ボーダレス・アートミュージアム NO-MA

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Apr

25

アートディレクター はたよしこが紡いだ言葉

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【アートディレクター はたよしこが紡いだ言葉】

NO-MAに入ると、鮮やかな赤い壁がときどき展に来てくれた人々を出迎えてくれます。そこには、はたよしこの「ボーダレス・アート」を巡るメッセージが書かれており、本展の見どころの一つとなっています。2018年10月にインドネシア国立美術館で開催されたTOKIDOKI展でも一際目を引いたこの展示は、NO-MAの精神性を国境を越えて伝える役割を担っていました。


入り口からインパクトのある赤い壁が見える

NO-MAでは開館以来、この「ボーダレス・アート」という視座を通して、展覧会を企画してきました。「ボーダレス・アート」は、展示のありかたやその状況を指す概念的な言葉であり、NO-MA設立にあたって場を象徴するために編み出された造語です。
はたは、この言葉をつくった設立準備委員会からNO-MAに関わり、開館後はアートディレクターとして20本以上の展覧会を手掛けてきました。この赤い壁に散りばめられているメッセージは、はたが「ボーダレス・アート」を構想し、日本のアール・ブリュットの作り手たちとの数多くの出会いを経る過程で生み出されたものです。


壁にはこれまではたが紡いできた言葉が並ぶ

NO-MAや日本のアール・ブリュット作品を現地の人たちに知ってもらいたいという思いでつくり上げたTOKIDOKI展において、NO-MAのコンセプトの核である「ボーダレス・アート」についてストレートに表現するはたの言葉は、現地の人たちにも大変インパクトを与えました。


赤い壁は、インドネシアのTOKIDOKI展でも強いインパクトを残した

はたのメッセージは、確信的で力強く、そして切実に、人間の根源的な表現衝動について訴えています。展示しているメッセージのひとつには、

「結局、表現衝動の謎はわからない。けれども不可解だからこそ人は惹かれ続けるのだろう。」

というものがあります。「表現衝動の謎」とは、これと別のメッセージ中の、「人の生物学的生死には無関係とも思えるその行為に向かうエネルギーは、いったいどこから来るのだろうか」ということとイコールです。そしてはたは、その謎がわからないからこそ魅力的なのではないかと言うのです。「表現衝動の謎」に真っ向から向き合いつつも、それを解明する方向ではなく、不可解なまま不可解であること自体を面白がるようなはたの一貫したスタンスから生まれる言葉には、それ自体に人を惹きつける力があるように感じます。はたのメッセージは分野としての美術や福祉といった枠組みをそれこそ「ボーダレス」に越え、「人間はなぜ存在するのだろう」「人間とは何か」といった、より一層深く、根源的な問いへと私たちを導いてくれます。
NO-MAは今年で開館から15年を迎えます。これまでも、そしてこれからも、ずっとNO-MAを支えている「ボーダレス・アート」という言葉。本展で、はたのメッセージに触れながら、改めてNO-MAが目指してきたこと、大切にしてきたことの原点を感じていただければ幸いです。

社会福祉法人グロー(GLOW)
展覧会担当 原田綾子

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