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May

05

【ゴールデン・ウィーク連載】GIRLS展の楽しみ方 その4(砂漠の女王の入浴シーン)

仲澄子さんが最後に描かれた絵についてのお話です。
描いたのは99歳のとき。お亡くなりになられる20日ほど前に描かれたのが本作です。



王冠をかぶった女性が笑っている絵です。左端には、「砂漠の女王の入浴シーン(エリザベス女王)」と記されているので、女王様が気持ちよくお風呂に入っている絵であることが分かります。素朴な印象があり、観ていてあたたかな気持ちになる絵です。

仲さんのご家族にお話を聞いて分かったのですが、この絵に描かれている笑顔の女性は、仲さん本人の姿だそうです。
高齢のため一人でお風呂に入ることが困難だった仲さんは、自宅で支援員さんの介添えで入浴をしていました。そして、介助を受けているその状況を、「まるで女王様みたいやわ」と笑って話したと言います。

仲さんは、90歳の誕生日から《すみばあちゃんの思い出日記》を描き始めました。
作之助おじいちゃんと初江おばあちゃん(仲さんの父・母)との思い出、兵隊さんとの文通でドキドキした青春時代、戦時中の結婚式、娘と見た風景、孫・ひ孫との数々の思い出など。思い出される記憶を、取捨選択することなく、その全てを一つひとつ、つぶさに綴っていきました。
そして、最後の絵となったのが本作。それは仲さんにとって、つい今しがた起きた出来事でした。

また、この絵にはもう一つ仲さんらしいおもしろい事実が描かれています。
それは右端に記された「砂ばくに日は落ちて夜となる頃」という一文です。
調べてみるとこの一文は、昭和初期にヒットした流行歌、二村定一による「アラビアの唄」の歌詞の一節でした。
私はこの曲のことをこの絵と出会うまで知らなかったのですが、曲調が素晴らしく、また歌詞がこの絵ととにかくベストマッチです。この曲はぜひ調べていただけたらと思います。
本作の情景が、この曲をきっかけに、さらに深く浮かび上がってきます。

本展では、《砂漠の女王の入浴シーン(エリザベス女王)》を、2階の床の間に飾りました。そして、絵と向かい合いながら、《アラビアの唄》を聞いていただくこともできるようにしています。



仲さんが入浴しているときにこの歌が頭の中に流れていたのか、絵を描いたときに思い出したのか。この絵を観ながらこの曲を聴いていると、仲さんが絵に込めた感情や、その時の空気感、優しくて洒落っ気のあるお人柄が、目の前に広がってくるようです。(横井悠)

《砂漠の女王の入浴シーン(エリザベス女王)》を展示中の企画展「GIRLS 毎日を絵にした少女たち」の詳細はこちらから
http://www.no-ma.jp/?p=16606

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