ボーダレス・アートミュージアム NO-MA

  • Japanese
  • English
  • 中文
  • 한글

お知らせ

  • HOME
  • > お知らせ一覧
  • > ラジオ番組「Glow生きることが光になる」10月第5週「これ、すなわち生きものなり展関連講演会『民族社会のなかの妖怪たち』」小松和彦さん 前編

お知らせ

ラジオ番組「Glow生きることが光になる」10月第5週「これ、すなわち生きものなり展関連講演会『民族社会のなかの妖怪たち』」小松和彦さん 前編

お知らせ一覧に戻る

今週から2週にわたり、10月24日に開催された「これすなわち生きものなり」展関連イベント、小松和彦氏(文化人類学者、民俗学者)の講演会の様子をお届けします。

40年近く妖怪のことを研究しておられる先生。最近妖怪は非常に話題になっており、隔世の感があるとのこと。 

「妖怪とはなんだろう?」ということからお話は始まりました。先生が支えにしてきた言葉があるそうです。それは物理学者で有りエッセイストでもあった寺田寅彦さんが「化け物の進化」という本のなかで、100年近くも前に書かれたエッセイの中にあるそうです。「人間の進化の道程において化け物が最も優れている。人間は他の動物と違って文化を持っている。その文化の中でも最も人間らしいものを表現しているのが化け物だ」という言葉だそうです。



化け物の世界というのは色んな側面を持っていて、一つは宗教と結びついているそうです。ある一面では科学と結びついており、つまり妖怪とは広い意味での神観念につながると言います。それを信じたり、崇めたりしていくと、同時にいったいなぜあんな現象を「化け物」という現象が起こるのかという謎を解こうということになり、そこから科学が生まれてくるという側面もあるそうです。
化け物というものを素材にしなら日本の文化を見ても、文学でも妖怪はよく素材になっており、それは芸能も歌舞伎も能でも同様ですが、最近ようやく絵画の方でも作品が残されてきているということが気がつかれてくるようになったそうです。

日本の妖怪の一番大きな特徴はどのような物があるかということが、次に話されました。すべての物が神様にもなるし、妖怪にもなるということだそうで、つまり否定的な存在にもなるとうことだそうです。なぜそういうことになるのか。日本では極端に言うと名前を持っている物すべてのものに魂があること考えられることに起因します。昔の人はその魂が人間と同じように喜怒哀楽をもっている、つまりは擬人化されていると考えられたからなのだそうです。魂は怒ったり、悲しんだり、喜んだりする。なので喜んでいるときは非常にありがたいが、怒っているときには周りの人に迷惑を掛けるというようなことを考えてきたのだそうです。

妖怪というのはいくつかに分けることが出来るそうです。妖怪の大きな特徴は音の妖怪が多いということだそうです。小豆を洗う妖怪には「小豆洗い」というように何にでも名前を付けてきました。名前がつくと妖怪の種類が増える、これは魂があらゆるものにっていることと同じように、現象とその現象を引き起こす生き物と関係していることもあるそうです。もう一つ、日本の大きな特徴としては、不思議な現象であったり不思議な存在を絵にしてきたことにあるそうです。早い時代から絵にして表現してコントロールしようと、そういう文化を育んできた、そういう創造する力が日本にはあると言います。

先生は日本の妖怪文化を大きく2つに分けておられます。一つは農山村、もう一つは都市の妖怪文化です。
これらにどういう特徴があるかと言うと、農村部は口頭伝承、文字をほとんど持たない文化だったそうです。これに対して都市は早くから文字を作り、そして絵も技術を磨き、色々な事件であったり物語であったりを絵にしてきたのだそうです。

都市は文字があるので、ある程度過去が解り、平安時代にどのような生活をしていたのかについては「今昔物語」など庶民の生活を描いたものを読めば解るそうですが、文字を持たない同じ時代の農山村がどのようなものだったのかは本当に解らないそうです。妖怪を考えようとした時にも、100年前の或いは1000年前の農山村の妖怪は解らず、一方、平安時代の都市の妖怪は文字が残っているので解るそうです。しかし両者は影響関係はあったのだろと考えられるそうです。

現在は民俗学という学問が生まれ、農村部の昔話を口頭伝承で、口から口へ、耳から口へという形で伝えていった話を書き留めていく。なので、今はその時点で文字化して残っていくという状況にあるそうで、日本の昔話とはそういった形で伝えられてきたものだそうです。昔話は、ほんの100年前に全国の民俗学者が集めたものです。集めなければ消えてしまっていたものということになります。
都市は少し違った歴史を持っているそうで、後半では都市の歴史を見つつ、都市の妖怪と農村部の妖怪というものを見ていきます。

先生は、その両方が合わさったところに日本の妖怪があるとおっしゃいます。


放送をお聴き逃しの方、カバーされていないエリアにお住いの方も是非Podcastからお聴きください。(音声は、放送後の翌週月曜日に更新されます。※祝日の場合は火曜日)

次週も引き続き、小松和彦氏の講演会をお届けします。11月6日(金)21:30~21:55です。KBS京都ラジオです。

お知らせ一覧に戻る